ハイサーイ!涼しくなって沖縄の農業が本格始動してきました。腰をヤラないように細心の注意を払いながら体幹を鍛え中のトーピーです。
さて、今回は卸売市場と農家の関係について、卸売市場の立ち位置と存在意義、農家目線で見た、市場の活用方法について、実際に青果市場で働いている方の生の声をもとに解説します!
市場の特徴
収穫した作物を市場に出荷するって、大規模農家だけでしょ?市場への販売価格は直売所よりも安くなるんでしょ?
市場は誰でも利用できて、出荷もできます。
公共の施設になるので、生産者を守るルールもあるよ!
「生産者から出荷された青果物は、拒むことはできず、必ず販売する。」
個人的な感想で、結論から言うと、市場は活用したほうがよいということです。
とは言え、少量の収穫では、市場に卸すよりも、地元の直売所のほうが売りやすいけど、徐々に規模が拡大していくと、直売所ではさばけなくなる限界点を迎えることになります。
そうなったときに、市場やJAは、規格さえ合格していればどれだけでも購入してくれるため、中規模から大規模農家さんにとっては、大切なパートナーという位置づけになります。
市場って聞くと、漁師や農家さんのプロが競りをやっているイメージが強いですよね。みなさんがイメージする市場も間違えではありません。今回は市場側の側面から見た市場の立ち位置と、農家への要望、出荷される作物の特性と付加価値のつけ方などについて、ユーザーと市場関係者のギャップを埋められる内容にまとめてみました。
市場流通の取り扱い規模
全国の卸売市場の取扱量は以下の通りです。
①1日平均で、野菜と果実を合わせて約190トンの青果物が市場で流通
②学校給食、スーパー、飲食店などに広く青果物を供給
③世界、全国、全県から商品が集まる、県内青果物流通の中心
⇒ 需要動向、産地動向、食生活の動向が現れる場所。情報を集めて活用することが大切だということがわかります。
生鮮食料品等は、鮮度が低下しやすいため長期にわたる保存がむずかしく、その鮮度によって商品の
価値が著しく変化する。また、その需要量に変動が少ないにもかかわらず、供給量(生産量)は天候
その他の自然条件によって極めて大きく左右されるという商品特性を持っている。
市場流通の仕組み
このため、生鮮食料品等の円滑な供給と消費生活の安定を図り、公正かつ迅速な取引を確保すること
を目的として、地方公共団体が、衛生的かつ効率的な施設の建設や、一定の経費負担を行うなど、市
場の管理・運営にあたっている。(引用元:東京都ホームページ)
⇒沖縄県は、県が開設者。施設は公共施設。
大きな特徴のひとつは受託拒否の禁止
生産者から出荷された青果物は、拒むことはできず、必ず販売する。
(※例外:品質が極端に悪いもの、傷んでいる、消費者に害があるものは拒否できる)
基本的な機能は4つ
(1)農産物を集荷して、仲卸業者や小売店に販売する。
(2)需要と供給のバランスを考えて、適正な価格を決める。
(3)販売先から集金した金額を確実に農家に支払う。(3日後には支払う)
(4)産地の情報を仲卸業者や小売店に伝えるとともに、消費者ニーズを産地に伝える。
卸売市場の一日の流れ
卸売市場の活用について
では、実際にどうやって市場を活用するか?
① 市場への出荷方法(主に二つの経路)
• 農協の集荷場経由
各地にある農協の集荷場からは卸売市場への出荷するトラックがある。
※出荷曜日、時間は近くのJAに相談。
• 市場への直接出荷
出荷者登録を行えば、誰でもすぐに出荷可能。
➢ 登録用紙、通帳の写し、銀行印で登録可
➢ 午後5時~25時まで受付け
➢ 出荷の規格などは相談すること
• 委託販売手数料野菜8.5% 果実7.5%
② HPの活用
• 沖縄県中央卸売市場のHP
(https://www.pref.okinawa.jp/site/norin/oroshiuri/index.html)
➢ 市場年報
市場取引の一年間の取引データが掲載(品目別、月別など)
➢ 市況情報
野菜、果実、花き、鉢物の日々の取引データ(週間ごと)
• 沖縄協同青果(卸)のHP
(http://www.oki-kyoudou.jp/)
➢ 市況情報
➢ 農家のメモ帳(防除の仕方アドバイスと記帳方法について)
➢ うちなーすぐりむん(防除日誌を活用して安心安全な野菜・果物を作る)
✓ 沖縄県農林水産部監修で作成された冊子。生産についての基礎技術が満載。
③データの活用
➢ 収穫量の目安と市場年報の価格情報でおおよその販売高が計算可能。
⇒栽培面積から収穫量を算出×単価=販売金額
➢ 販売金額-経費(借地料、肥料代、農薬代、人件費など)
⇒およその収入が算出できる。品目の組み合わせなども。
④ 沖縄協同青果の取組み紹介
➢ 新規就農者支援
• 就農給付金制度により各地で新規就農者が増加
• 安定的な経営ができていない生産者の存在
⇒JA・市町村などと連携した支援策
✓ 品目選定のアドバイス(売れ筋情報の提供)
✓ 市場向け出荷者グループ作り
⇒情報交換会(販売相談、栽培技術情報、品種情報の提供)
新規就農後は、継続的に情報収集できる状態を作ることが経営安定のカギ!
農業は一人でできることが限られています。沖縄で農業をやろうとした場合、仲間作りがとても重要だと思います。困ったときに助けてくれる仲間や先輩がいることによって、長く続けることができます。
いずれにしても、農業を始めるにあたって、地域に根付いた活動や、地元の人とのかかわり、地域貢献を意識した取り組みがとても重要です。沖縄ではよそ者にはなかなか畑を貸してくれません。南の島国ということもあり、本土と違って歴史背景から、ある意味、排他的な一面をもつ文化も残っています。
JA、普及センター、市場などと関わりをもって仲間づくりをしましょう!
最後に
いかがでしたでしょうか。今回の講座を受講して一番の驚きは、沖縄において市場というのは公共のもので、だれでも利用できるということでした。もちろん、築地市場のように早朝に行って、敷地内のお店で新鮮な魚介類などを手軽に購入できるということは知っていましたが、販売側の目線で考えたとき、所定の手続きさえすれば、例えば、庭でとれたマンゴー1つから、誰でも市場へ販売委託ができる権利があるということに、驚きました。
講座を通して、市場で働く方々は、農家さんなど、商品となる作物を提供してくれる人がいて成り立っているということを、しっかりと肝に銘じているということを感じました。いい作物を作ってくれる農家さんがいて、それを喜んで買ってくれるお客さんがいる。その仲介役として、市場や直売所の存在が大きいということを、あらためて認識することができる、良い機会でした。
市場で実際に働いている方の話を聞いている限り、一般の人に気軽に活用してもらって、もっと市場全体を盛り上げて行きたいという熱い気持ちが伝わりました。新規就農を目指す方も、そうでない方も、是非とも、気軽に足を運んでみてはいかがでしょうか。
新規就農支援講座についての記事はこちら
沖縄で農業するまでの様子について書いた記事はこちら
パッションフルーツの栽培についての紹介記事はこちら
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