パッションフルーツ【ハウス】の育て方について、実際の経験、自分たちの取り組みを中心に紹介いたします。今回は準備編として、パッションフルーツを栽培するにあたっての、実際に自分たちが準備したこと(ハウスの清掃、高畝作り)について、ご紹介します。
場所:沖縄県北中城村
基本情報
そもそもパッションフルーツってどんな植物?という人のために、まずはパッションフルーツの基本情報を抑えておきましょう。
- 科名属名:トケイソウ科 トケイソウ属(パッシフロラ属)
- 原産地:ブラジル、パラグアイ
- 分類:多年(宿根)草,耐寒性,つる性
- 栽培のスタート:苗から
- 日照条件:日なた
- 生育適温:20~30℃
- 水やり:生育旺盛で葉の水分蒸散量が多いので、比較的水は多く必要とする。冬は根腐れ防止のため控えめにする
- 特徴:九州南部以南の暖地なら庭植えも可能。開花時期に20℃以下になると受粉しても結実は不安定になる
- 樹高:つる性(0.5m~3m)
- 植えつけ期:1月頃
- 開花期 2月~3月頃(ハウスの場合は電球管理によって開花を調整可能)
- 収穫期 沖縄では4月~6月頃が一番の収穫時期
- 開花から収穫までの期間 70~80日
パッションフルーツに含まれる栄養素
- ビタミンC・免疫力を高める風邪等の予防に。美肌効果も。
- βカロテン・細胞を保護。生活習慣病や老化防止に効果ありとされる。加熱に強い。
- ビタミンB6・アミノ酸の代謝に大きな役割を持ちます。ニンニクと同等の含有量。
- 葉酸・貧血予防、肝臓、皮膚の健康維持に効果あり。
ハウスの清掃(草刈り)
7月某日、これからパッションフルーツ栽培を開始するため、使っていないハウスの清掃から開始しました。
目を覆いたくなるほどの荒れ模様。このサイズのハウスが2つあり、そこで3畝ずつ、1畝に10苗(合計:60苗)を栽培する計画です。
早速、草刈りです。途中に太く堅い木があったり、以前に使用していた鉢があったりと、荷物を運びながら作業すること半日。
このハウス、防草シートを張っていたにもかかわらず、つる性の植物がびっしり絨毯のように敷き詰められていて、これらを剥がす作業がきつかったです。レーキでかき集めても、どこからともなく、まとわりついてきて、なかなか手に負えません。日ごろから手入れせず、後で一気にやろうとすると、こうなるという見本ですね。
刈り草の撤去、屋根や壁の植物を手作業で撤去すること数時間
ここまでキレイになりました。
高畝作り
あとは高畝作りのために、重機で土を掘り起こし、高畝にするための壁、ポール、シートを設置します。1つのハウスに3畝(1畝の幅は90cm、高さ50センチ)の計画です。
なぜ高畝にするかというと、このあたりの土はジャーガルと言って、栄養価は高いものの、粘土質で水はけが悪い土だからです。
パッションフルーツを育てるときは、水はけのいい土を用意して根腐れを起こさないように注意が必要!
ここの土は水はけがあまり良くないため、水が溜まる場所よりも苗や根を高くします。
そのため、高畝にすることで、水はけを良くして、根腐れなどの病気を防ぐ効果があります。また、地面から離すことで、他の病害虫からの被害を防ぐ効果もあります。
重機で掘った土を戻します。
掘り上げた土だけでは、高畝作りに使用する土が足りませんでしたが、ひとまず形になりました。
いろいろとやり方はあるものの、今回は、先にメッシュワイヤーと支柱で枠組みを作り、外に土が漏れないように側面内側をシートで囲いました。
盛り土
足りない分の土を4tトラックで運び入れ、一輪車を使って畝に盛り土します。これが力仕事で結構しんどかったです。このあたりの作業効率も考えて、高畝作りの際は、畝の間隔を決めるといいです。
パッションフルーツの高畝は、一度作成したら、その後10年は使えるので、最初の設計からしっかり準備することが重要!
畝と畝の間隔を最低でも一輪車が通れるスペースを残すことが重要です。
男手が無いと本当にしんどいです。気をつけて作業しないと腰をヤッてしまいます。
土作り
盛り土が完了したら肥料を混ぜて土を耕します。実は小型の耕運機が入るように、畝の幅を耕運機が入るギリギリの幅を取っています。農業をやっていくうえで、長く続けるためには、機械で楽ができるところは、できるだけ楽をすること!だということを学びました。
完熟堆肥と野菜用の土を追加して、耕運機をつかって土を耕します。土を耕した後、敷き草の代わりとして、バークチップを土の上に敷きます。
支柱の高さも計算されています。
地面から1.8mくらいの高さに、ちょうど屋根を作る際の枠組みのように支柱のポールに、横枠のポールを設置します。そして、畝の中心になる真ん中にも1本、誘引用のパイプを設置します。これらの高さにもノウハウが含まれています。
パッションフルーツの収穫を楽にするために、誘引用のポールは1.8メートル~2メートルくらいの高さにすることが重要!
後で詳しく書きますが、パッションフルーツはつる性で、孫枝から50cmは花、実はつけないため、誘引させる場所を自分の背丈よりも高くし、孫枝の先(花や実がつく場所)が自分の胸よりも上にくるようすることで、受粉や収穫作業が格段に楽になります。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は準備編ということで、ハウスの清掃から、その土地にあった栽培方法(高畝方式)でパッションフルーツを栽培するにあたっての準備作業を中心にご紹介しました。
次回、苗植えから、栽培管理のポイントまでをご紹介したいと思います。
パッションフルーツの栽培方法、ポイントについて【苗植え編】の記事はこちら
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