こんな人におすすめ!
・沖縄で新規就農を考えている人
・新規就農支援講座の講義内容ついて知りたい人
・新規就農支援講座を受けるメリットについて知りたい人
・沖縄の新規就農者の実情(栽培品目、収入状況)を知りたい人
・沖縄の農業事情に興味がある人
ハイサーイ!秋になってめっきり涼しくなり、畑作業が心地よくなってきた とーぴー です。これまでは夏の暑さとの闘いだったので、滝のような汗をかき、かいた汗以上の量のビールを流し込む日々でしたが、これから冬に向けて、あまり汗をかかなくなってくるので、畑+サーフィンでカロリー消費する必要がありそうです。
さて、今回は新規就農支援制度についてです。これは農林水産省の管轄によって、新規就農者に対して様々な支援を行ってくれる制度です。これから新規で就農を目指す人が、長く続けていけるように、様々な支援制度があります。
色々な先輩たちから話を聞いていると、農業を始めて最初の3年が一番きつい。5年以内にしっかりとした利益を上げられないと、その後も続けていくことが困難だということ。そのために、就農開始から5年間の間は、収入支援として、年間で120万円ずつ支給してくれる制度など、新規就農者のための手厚い支援があります。それら支援制度について、学んだことをご紹介します。
新規就農者の自立状況
まず、支援制度の前に、知っておくべきこととして、現状の沖縄(中部地区)における、新規就農者の自立状況について説明がありました。
このグラフからわかる通り、3年目までに農業所得で生活を賄える人は、33%と少なく、4年目以降でやっと62%になるというのが現状です。これらは平成22年~平成30年において、沖縄中部地区で開始型利用の新規就農者79件について分析した結果です。
内訳は以下の通り
- 野菜 :36件
- 花卉 :30件
- 肉用牛:10件
- 果樹 :2件
- 甘藷 :1件 (甘藷とはサツマイモのこと)
4年目、5年目以降になっても農業所得で生活を補うことが難しい農家さんは、有機栽培、自然農といった、無農薬にこだわった農家さんに多い傾向があるとのことでした。有機栽培は手間ひまがかかるわりに、需要と供給がなかなか合わず、一部のファンがついている農家さんを除いて、特に沖縄においては、有機栽培で他よりも割高な作物よりも、見た目が良く、安価な作物の需要が多いということがわかります。
日々の生活をしていても、直売所に美味しそうな野菜が安く置いてあり、旬の時期などはたくさんの農家さんがこぞって出荷しているので、価格競争になっているのが現状です。また、近所の大手スーパー(Maxバリュー)では、オーガニックコーナーがありますが、品数も少なく、目立った場所にあるわけでもなく、値段も高いため、あまり売れていないように感じます。
支援制度と栽培品目
支援制度と栽培品目には関連性があります。支援制度を受けやすい品目とそうでない品目があります。県の特産品かどうかに関りがあります。
①支援制度が活用し易い品目 インゲン、小菊、マンゴーなどの県の戦略品目 理由:収益性が明確で計画が妥当かどうか判断し易い 補助後の指導体制が整っている 補助する側の行政が振興している ②支援制度が活用しにくい品目 コーヒー、アボガド、バニラ、ヘナなどの特殊品目 理由:収益性が不明なため計画が妥当かどうか判断できないため 補助後の指導体制が無い 補助する側の行政が振興していない
支援制度については、研修を受ける準備型と、経営から始める経営開始型の2通りがあります。
就農研修編(準備型)
準備型とは、就農するにあたって準備期間を設けることでスキルアップし、その間の収入保障をしてくれる制度のことです。
農業次世代人材投資事業(準備型)
県知事が認める研修機関で研修を受ける方に最長2年間、年間最大150万円の資金を交付する事業。
主な申請要件は以下
- 対象年齢は研修終了後、就農予定時の年齢が50歳未満
- 対象者は独立就農・親元就農又は雇用就農を目指す者
(申請時に農地確保や雇用就農の見込みの確認があります) - 未就農者であること
(農地取得や本人名義の出荷実績が無いこと) - 前年度の世帯所得が600万円以下であること
県知事が認める研修機関
- 沖縄県立農業大学校
- 宜野座村農業後継者育成センター
- 沖縄県農業協同組合玉城農業後継者育成施設
- 沖縄県花卉園芸農業協同組合農業後継者育成施設
- 今年度から先進農家が加わったが、研修を受け入れる農家が研修カリキュラムを作成し、県知事の認定を受ける必要がある。
農業次世代人材投資事業(経営開始型)
経営開始型とは、農家として経営を開始するにあたって必要な土地や機材の費用や、経営が安定して自立するまでのサポート支援、生活費などを助成してくれる制度です。
自分が就農したいと考える場所の自治体から「認定農家」(青年等就農計画の認定)として認定を受けることで、経営開始から5年以内の間に、様々な助成を受けることができる制度です。
最大5年間で690万円の交付を受けることが可能な制度です。これはとてもありがたいですね。できることなら新規就農者は使わせていただきた制度です。(2021年度の採択者:就農3年目までは年間150万円交付。中間評価をクリア出来れば4、5年目は120万円交付。)
とはいえ、「認定農家」になるためには、未経験者にはとても高いクリアすべき壁があります。沖縄の場合は、第一に農地の確保、その後に、所得目標の達成計画の作成が必要です。認定農家になるための条件については、また別記事に書きたいと思います。(現在、調査中のため)
便宜上は以下の条件が必要です。しかし、どこの馬の骨だかわからない新規就農希望者が、簡単に認定を受けられるほど、甘いものではなさそうです。
青年等就農計画の認定制度
新たに農業経営を営もうとする青年等を市町村が認定し、認定を受けた者に対し、支援措置を講じようとするもの。
1.対象者 青年(原則18歳以上45歳未満) 知識・技能を有する者(65歳未満) 上記の者が役員の過半を占める法人 ※農業を開始してから5年以内の者で認定農業者を除く 2.認定要件 5年目の目標所得175万円以上(市町村により異なる) 夫婦型は目標所得の1.5倍以上(家族経営協定が必要) 目標達成が確実であること(計画と技術力を審査) 3.認定のメリット 農業次世代人材投資事業(経営開始型)、青年等就農資金、 新規就農一貫支援事業、農地集積の促進
この他に、各自治体毎に農地を取得するにあたっての下限面積が設定されていて、下限面積を自分名義で借用できる目途を立てる必要があります。正直なところ、移住者にはこの農地確保が一番厳しく、認定農家になるための最大の壁と言ってもいいと思います。
私が希望する「北中城村」では、下限面積が20a(約600坪)を最低でも借りることができないと、認定農家になるための申請すらできないようです。20aは1カ所でまとまって準備する必要はなく、例えば5aの農地を4カ所借りることができればOKです。それでも、沖縄でこれだけの農地を探して、認定を受けることができる作物を栽培するというのは、なかなかの難題だいと思います。
青年等就農資金
また、就農開始するにあたって必要な資金の援助制度として、「青年等就農資金」という支援制度があります。最大3,700万円まで、無利子、無担保で借入できる制度です。
1対象者:青年等就農計画認定を受けた者
2資金の使途:
農業機械・家畜の導入、ビニールハウスや畜舎の建築など
農地取得以外の必要経費の多くが対象
3融資条件:無利子、実質無担保・無保証人
借入限度額3,700万円、償還期限17年以内(うち据置5年以内)
4窓口機関:沖縄振興開発金融公庫(JAでも代理可)
最後に
いかがでしたでしょうか。農業人口の高齢化、新規就農者が減少している日本において、新規就農を目指す若者を支援する制度がこれだけあるということを学ぶことができただけでも、とても勉強になる講座だと思いました。
それぞれの支援制度や、準備型、経営開始型など、いくつか分かれているものの、いずれにしても、それぞれの自治体において、「認定農家」として認定される必要があります。これは各自治体がそれぞれの査定によって認定するもので、明確な認定基準はありません。
ただし、ひとつだけ言えるのは、各自治体の立場から考えたときに、「この人なら、地域に貢献してくれるような農家さんになってくれるポテンシャルがあるから、応援したい!」と思ってもらえることが一番重要だと感じました。
そのため、栽培品目においても、その市町村で特産品として力を入れている品目であれば、自治体や農業委員の方々も応援してくれますし、先々まで指導やサポートもしてくれます。
逆に、その土地(市町村)が推薦する特産品でもなく、趣味で農業を始めたい!というくらいの軽い気持ちでは、認定農家として認めてもらうことは、かなり難しいと思います。
移住してきた身としては、どうせなら、その地域に受け入れてもらい、農業を通して地域貢献ができる、そんな良い関係性を築いていきたいものです。そして、自分たちの子供たちや、次の世代に食の大切さ、農業の素晴らしさを伝えて、「農業って、稼げるし、かっこいい!」と思えるように、新しい道を切り開いていきたいものです。途中から、支援制度の話から、農業に対する姿勢のような内容になってしまいましたね。最後までお読みいただき、ありがとうございました!
新規就農支援講座についての記事はこちら
新規就農支援制度を受けるために必要不可欠な認定農家になるための解説記事はこちら
沖縄で農業するまでの様子について書いた記事はこちら
パッションフルーツの栽培についての紹介記事はこちら
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